鏡よ、鏡この世で一番…

自作の小説の溜まり場

2020-01-01から1年間の記事一覧

ブラッククリスマス

こんな噺を聞いたことはありませんか。 クリスマスには、サンタさんが来ます。 ですが、悪い子はブラックサンタさんが来て氷河に捨てられます。 クリスマス以降にその子を見た人はだれもいませんでした。 これは僕の地域に伝えられている伝承だけれど、正直…

禁じられた遊び

いつも恒例の女子会は楽しい。 けれど、たまに二人の仲の良さを見せつけられて、切なくなるのはなぜだろう。 こないだの女子会は楽しかったはずだ。なのに、寂しいのはなぜだろう。 …振り返る。 いつもの帰りのバスで友達と放課後遊ぶ約束をしているから手土…

思考停止

ざあざあ、と雨が降ってきた。 なぜ、僕はこんな雨の中傘もささずに佇んでいるのか疑問を抱きながら、ふと水面を覗き込んだら。 そこに写っていたのは、大嫌いなカエルだった。 なぜ、大嫌いなカエルになっているのか。 いくら考えても分からない。 考えても…

猫とメリーゴーランド

たまちゃん、お元気にしていますか。 虹の果ての世界は晴れていますか。 そう問いかけても返事はなかった。 あたりまえか。 たまちゃんのお墓に向かって話しかけても、しかたないって分かっていない。 そんな自分にどうしようもないやるせなさをおぼえた。 …

どうか、小説家気分に浸らせてください。

《女なんだから化粧しろ。 女の子だからピンクにしようね。 女なんだから、ちょっとはおしゃれしろよ。 うるさい、うるさい。 灰色の言葉の羅列がうるさくてしかたない。》 遮光カーテンで締め切った 散らかった部屋で誰に届けることもなく文章を書きなぐる…

狂愛

やっと一緒になれるね… 誰も助けに来ない燃え上がる部屋の中で君の遺骨を抱きしめながら僕の意識は灰になって… 僕は君より一個下で僕の猛アプローチの末に君と結ばれた。 君は、僕より年上で三十路とは思えないくらい綺麗だった。 手入れの行き届いた長い黒…

ゆめかわ☆戦争

2020年日本にてゆめかわ戦争勃発。 瓶いっぱいにつめられたカラフルなジェリービーンズの大砲。いちごミルクの機関銃から飛び散るいちごミルクに群がる兵士たち。 戦争なんていいつつ、まるでおとぎ話のように平和。 それもそう。 ここは可愛いものしか存在…

あかい海

眠れない海の音。 あかいあかい海の色。 胎児はあかい海を悠々と泳ぐ。 お母さんの栄養が胎児のいのち。 胎児よ、汝は何時まで与えられしあかい海を悠々と泳ぎつづける? さもなくば、母なるものはお前を生む前に死んでしまうぞ。 すると、胎児は目すらまだ…

少女殺し 〜 メイデン・キラー 〜

私、どこに居るの…? 気付けば、真っ暗な小部屋に手錠をがんじ絡めにされた私の腕"らしき"ものが、私の目にうつった。 ああ、そうか、と私は分かった。 分かってしまった。現実を。 私は、ずっと甘くて淡い夢をみていたのね。 そう、朦朧としたまま淡い記憶…

彼岸のあなたまで…

彼岸。悲願。此岸。 あなたにもういちど会えること、それが私の悲願。永遠に叶えられないねがい。 まだ夏の暑さが残る日差しを浴びて少し汗ばみながら野菜と花を買いに買い物に向かっていく。 出掛ける前にほんのり香る死の香りをしたあなたの遺影にそっとキ…