鏡よ、鏡この世で一番…

自作の小説の溜まり場

あかい海

眠れない海の音。

 


あかいあかい海の色。

 


胎児はあかい海を悠々と泳ぐ。

 

 

 

お母さんの栄養が胎児のいのち。

 


胎児よ、汝は何時まで与えられしあかい海を悠々と泳ぎつづける?

 


さもなくば、母なるものはお前を生む前に死んでしまうぞ。

 


すると、胎児は目すらまだない歪な顔でにやりと嗤った。

 


数日後、アパートの2階で栄養失調の母親が発見された。

 


お腹には、すくすく育った赤ちゃんが眠っていた。